太陽光発電 Solar Power

太陽光発電のしくみ

太陽光発電の仕組み
太陽光発電
 
住宅用の太陽光発電システムは、太陽の光エネルギーを受けて太陽電池が発電した直流電力を、パワーコンディショナにより電力会社と同じ交流電力に変換し、家庭内のさまざまな家電製品に電気を供給します。
一般の系統連系方式の太陽光発電システムでは電力会社の配電線とつながっているので、発電電力が消費電力を上回った場合は、電力会社へ逆に送電(逆潮流)して電気を買い取ってもらうことができます。反対に、曇りや雨の日など発電した電力では足りない時や夜間などは、従来通り電力会社の電気を使います。
なお、こうした電気のやりとりは自動的に行われるので、日常の操作は一切不要です。

キーワード
太陽電池:太陽の光エネルギーを直接電気に変換する装置。
接続箱:太陽電池からの直流配線を一本にまとめ、パワーコンディショナに送るための装置。
パワーコンディショナ:太陽電池で発電した直流電力を交流電力に変換するための装置。
分電盤:家の配線に電気を分ける装置。
電力量計:電力会社に売った電力や、購入した電力を計量するメーター。売電用と買電用の2つの電力量計が必要となります。
系統連系:自家用発電設備を電力会社の配電線に接続して運用する方法。
逆潮流:系統連系する太陽光発電などの自家用発電設備から、電力会社の配電線(商用系統)へ電力が流れること。

今なぜ太陽光発電?

 太陽光発電は、「太陽電池」と呼ばれる装置を用いて、太陽の光エネルギーを直接電気に変換する発電方式です。
地球上に到達する太陽光のエネルギー量は1m2当たり約1kW。もしも地球全体に降り注ぐ太陽エネルギーを100%変換できるとしたら、世界の年間消費エネルギーを、わずか1時間でまかなうことができるほど巨大なエネルギーであり、しかも、枯渇する心配がありません。
現在、日本は、石油や石炭などのエネルギー資源のほとんどを諸外国からの輸入に頼っていますが、こうした化石燃料は使い続ければいずれなくなってしまうもの。太陽の光という無尽蔵のエネルギーを活用する太陽光発電は、年々深刻化するエネルギー資源問題の有力な解決策の一つです。
また、クリーンであることも大きな特長。発電の際に地球温暖化の原因とされている二酸化炭素(CO2)も発電時にはまったく排出しません。
エネルギー源の確保が簡単で、地球にもやさしい太陽光発電。日本は、世界でもトップクラスの太陽光発電技術を有する国でもあり、その導入量のさらなる増加が期待されています。

太陽光発電のメリット

 太陽光発電の主なメリットとしては、次の3つが上げられます。

メリット1:クリーンで枯渇しない

太陽光発電の最大のメリットは、エネルギー源が無尽蔵で、クリーンである点です。石油を燃焼させて電気を起こす火力発電のように、発電時にCO2(二酸化炭素)や、SOX(硫黄酸化物)、NOX(窒素酸化物)などの大気汚染物質を発生させることがありません。
ちなみに、結晶系シリコン太陽電池によるCO2削減効果は、1kWシステム当たり年間で314.5kg。原油削減量 は、1kWシステム当たり年間で227リットルになります (出典:太陽光発電協会「公共・産業用太陽光発電システム」)。

メリット2:設置場所を選ばない

太陽光発電は、導入するシステムの規模に関係なく発電効率が一定です。設置する場所の広さに合わせて自由に規模を決めることができるため、一般家庭から大規模施設まで、それぞれの施設に合ったシステムを設置することができます。騒音や排出物もないので、日射量さえ確保できれば、設置場所を選びません。屋根や屋上などへの設置のほか、近年ではビルの壁に設置するケースも増えています。

メリット3:メンテナンスが簡単

太陽光発電システムは構造的にシンプルであるため、ほかの発電システムに比べメンテナンスも簡単です。システムの寿命も比較的長く、現在、太陽光発電に用いられる太陽電池の耐用年数は、20年以上とされています(設置場所などの諸条件によって変わります)。


column 企業なら広告宣伝効果も!
近年では、環境保全に取り組むことは、企業の社会的責任(CSR)となりつつあります。太陽光発電の導入は、“目に見える”環境対策。企業広報に活用して、企業のブランドイメージ向上に役立てることが可能です。また社内的にも、従業員の環境意識や節電への関心を高める、災害時の電力確保などのメリットもあります。

太陽電池とは?

太陽電池のしくみ

太陽光発電システムの中心になっているのが、太陽電池です。
太陽電池は、太陽の光エネルギーを吸収して直接電気に変えるエネルギー変換器。シリコンなどの半導体で作られており、この半導体に光が当たると、日射強度に比例して発電します。
「電池」という名前がついていますが、電気をためる機能はありません。
ちなみに、太陽光発電は英語ではPhotovoltaic(PV)と呼ばれています。

太陽電池の原理 太陽電池
現在最も多く使われている太陽電池は、シリコン系太陽電池です。この太陽電池では、電気的な性質の異なる2種類(p型、n型)の半導体を重ね合わせた構造をしています。
太陽電池に太陽の光が当たると、電子(-)と正孔(+)が発生し、正孔はp型半導体へ、電子はn型半導体側へ引き寄せられます。このため、表面と裏面につけた電極に電球やモータのような負荷をつなぐと電流が流れ出します。


太陽電池の種類

太陽電池には、使われる素材や構造によっていろいろな種類があります。
開発中のものを含めると多岐にわたりますが、ここでは現在普及が進んでいるものを中心に紹介しましょう。

■シリコン系
結晶系 単結晶シリコン太陽電池
多結晶シリコン太陽電池
単結晶または多結晶のシリコン基板を使用したタイプで、発電効率が優れています。現在、最もたくさん生産されているタイプの太陽電池です。
非結晶質系 アモルファスシリコン太陽電池 ガラス、または金属等の基板の上に、薄膜状のアモルファスシリコンを形成させて作ります。将来の低価格化が期待されている太陽電池です。
■化合物半導体系
結晶系 単結晶化合物半導体太陽電池
多結晶化合物半導体太陽電池
化合物半導体太陽電池とは複数の元素を主原料としたもので、単結晶と多結晶のものがあります。単結晶の太陽電池には、人工衛星などの特殊用途に使われているものなどがあります。多結晶のものには、用途や使用方法に合わせて多様な材料や構造のものがあります。
※上記以外にも、異なる性質の材料を組み合わせたハイブリッド型など、いろいろな太陽電池があります。


column 太陽電池のセル、モジュール、アレイとは?
太陽電池は、その構成単位によって「セル」「モジュール」「アレイ」と呼び方が変わるので、覚えておくと便利です。
太陽電池とは
セル
太陽電池の基本単位で、太陽電池素子そのものをセルと呼びます。
モジュール
セルを必要枚配列して、屋外で利用できるよう樹脂や強化ガラスなどで保護し、パッケージ化したものです。このモジュールは、太陽電池パネルとも呼ばれます。
アレイ
モジュール(パネル)を複数枚並べて接続したものをアレイと呼びます。

Q&A 一般住宅編

Q1.太陽光発電でつくるのは?
Q2. 余った電気は売ることができるって本当?

Q3. 曇りや雨の日は、電気が使えなくなるの?

Q4. 太陽光発電で、家庭で使う電気を全部まかなえる?

Q5.どんな機器を設置するの。屋根に載せても大丈夫?

Q6.設置するのにいくらかかる?

Q7.設置に補助はないの?

Q8.何年ぐらいで元が取れるの?

Q9.機器の寿命は?

Q10.停電時にも電気は使える?

Q1. 太陽光発電でつくるのはお湯?

A.電気をつくります。
太陽エネルギーの利用方法には、大きく分けて2種類あります。一つが、太陽の熱を集めて給湯や暖房に利用する「太陽熱利用」。太陽熱温水器などがよく知られていますね。もう一つが、太陽の光で電気をつくる「太陽光発電」です。太陽光発電は、自宅の屋根などに太陽電池を設置し、太陽光を電気エネルギーに変えて発電します。発電した電気は、家庭の電力として、照明機器や家電製品などに使うことができます。
 

Q2.余った電気は売ることができるって本当?

A. はい、本当です。
昼間に電気を発電し、家庭で使って余った分を電力会社に売ることができます(売電)。買い取り単価は、皆さんが電力会社に支払っている電気代とほぼ同じです。
逆に、夜は発電することができないので、電力会社から電気を買って使います(買電)。
電気の売り買いは自動的に行われるので、面倒なことは何もありません。
売った分の電気代は契約者の口座に振り込まれます。「このお金が楽しみで、節電に励んでいる」というユーザーの声もたくさん聞かれます。
※電気を売り買いするには、電力会社との契約が別途必要です。
太陽光発電
 

Q3.曇りや雨の日は、電気が使えなくなるの?

A. いいえ、電気はいつでも使えます。
太陽が出ていれば発電しますが、曇るとあまり発電できなくなります。そういった時は、不足分の電気を電力会社から買って使います。ですから、曇っていても雨が降っていても、電気が使えなくなることはありません。
太陽光発電

 

Q4.太陽光発電で、家庭で使う電気を全部まかなえる?

A. 3kWシステムなら、55%程度まかなえる計算です。
太陽電池容量 1kWシステム当たりの年間発電量は約1,000kWh(※1)。
一世帯当たりの年間総消費電力量は5,500kWh/年なので(※2)、3kWシステムを設置すれば、55%程度を太陽光発電でまかなえる計算になります。

※1.東京地区で太陽電池を水平に対して30度傾け、真南に向けて設置した場合の計算例です。
   地域や太陽電池の方位、傾斜角度により発電量が変わります。
※2.省エネルギーセンターホームページ

 

Q5.どんな機器を設置するの。屋根に載せても大丈夫?

A.太陽電池モジュールやパワーコンディショナなどの機器を設置します。
屋根に設置するのは太陽電池モジュールのみで、通常の屋根の設備なら大丈夫です。

屋根に架台を取り付け、その上に「太陽電池モジュール」を設置します。太陽電池で発電した直流電力を交流電力に変換する「パワーコンディショナ」は、屋内あるいは屋外の壁面に取り付けます。

太陽光発電

3kWシステムの場合、太陽電池モジュールの設置面積は約20~30m2で、重さは架台などの設置部材を含めて300~450kg程度です。ほとんどの場合、問題はありませんが、家によっては屋根の補強が必要であったり、荷重に耐えられず設置できない場合もありますので、各販売業者の営業窓口にてご相談下さい。

 

Q6.設置するのにいくらかかる?

A. 価格は、 各販売業者の営業窓口にお問い合わせください。
太陽光発電システムを設置するには、機器一式, 設置架台、電気・設置工事費等の費用がかかります。
これらの費用は、設置条件(新築, 既築)やモジュールのタイプ(屋根置き型,屋根材型)、 あるいは屋根材の種類や形状、面積などによって異なりますので、各販売業者の営業窓口にお問い合わせください。
なお、平成19年度の住宅用太陽光発電システム平均設置価格(機器・工事費込み)については、新エネルギー財団より、1KW当たりの平均価格が69.6万円であるとの調査報告があります。
 

 

Q7.設置に補助はないの?

A. 国や地方自治体によって様々な支援制度があります。
平成20年度の補正予算にて1kWあたり7万円の設置補助制度が新たに創設されました。
当協会内に組織された、太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)で補助金申請を受付けています。制度内容や申請条件、申請手続き等詳しくはJ-PEC ホームページ(下記)をご覧下さい。

http://www.j-pec.or.jp/index.html

 

Q8.何年ぐらいで元が取れるの?

A.一般に20年ぐらいで元が取れると言われていますが、諸条件によって異なります。
償却期間を縮めるには、年間の削減電気代を大きくすることがポイント。新築であれば次世代省エネ基準の高断熱・高気密住宅にする、省エネタイプの機器を使う、オール電化にする、昼間と夜間の電気料金が違う「時間帯別電灯契約」にする、ことなどが必要です。

 

Q9.機器の寿命は?

A.太陽電池モジュールは20年以上、パワーコンディショナは10~15年と言われています。
表面が強化ガラスで保護されているモジュールの場合、寿命は20年以上と言われています。また、太陽光発電システムには、駆動部分がないので、他の発電システムに比べて長寿命でメンテナンスも簡単です。
「ホコリが付いて、発電能力が落ちるのでは?」との懸念もありますが、たいていの場合、汚れは雨によって自然に流れます。何年かに一度、業者に定期点検を依頼すれば安心ですね。
なお、パワーコンディショナは10~15年が寿命と言われているので、設置後10年に一度点検し、必要に応じて取り替えて下さい。

 

Q10.停電時にも電気は使える?

A.非常用のコンセントとしては使えます。
停電時にはパワーコンディショナの運転は停止しますが、自立運転機能付きパワーコンディショナを使用している場合であれば、手動切換えにより自立運転した場合、昼間天気が良ければある程度の電気を使用することができます。
 

太陽光発電2
非常用コンセントの例

 

設置例

1.nodate1
2.太陽光1
3.太陽光2
4.太陽光3
5.太陽光5

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